かいけいがく vol.66 - 連結 Part.4 -

(vol.65から続く)

 

ここからは簡単な設例を交えて、連結会計について説明していきます。

 

例)P社はx1年3月31日にS社株式60%を800で取得し、S社を連結子会社とした。

S社の資産うち、土地800(簿価)についてx1年3月31日で900であった。

(説明文に記載がない事象は説明の便宜上、考慮しないことにする。)

 

各社のx1年3月31日におけるB/Sは次のとおりである。

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まず、連結B/S作成のさいの基本ルールを確認しましょう。

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準

 

18. 連結貸借対照表は、親会社及び子会社の個別貸借対照表における資産、負債及び純資産の金額を基礎とし、子会社の資産及び負債の評価、連結会社相互間の投資と資本及び債権と債務の相殺消去等の処理を行って作成する。  

 

親会社と子会社のB/Sを基本として、子会社の資産や負債の評価、投資と資本の相殺処理等を行って連結B/Sを作成することになります。

 

設例では、子会社の土地に評価差額が生じているので、連結会計上、

こちらの金額を折り込みます。

 

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準

 

20. 連結貸借対照表の作成にあたっては、支配獲得日において、子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により評価する方法(全面時価評価法)により評価する(注5)。

21. 子会社の資産及び負債の時価による評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額(以下「評価差額」という。)は、子会社の資本とする。  

22. 評価差額に重要性が乏しい子会社の資産及び負債は、個別貸借対照表上の金額によることができる。 

(注5) 支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の決算日以外の日である場合の取扱いについて支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の決算日以外の日である場合には、当該日の前後いずれかの決算日に支配獲得、株式の取得又は売却等が行われたものとみなして処理することができる。

 

(仕訳)

土地 100 / 評価差額 100

 

次に、P社のS社に対する投資と対応するS社の資本との相殺処理を行います。

 

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準

 

23. 親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本は、相殺消去する(注6)。

(1) 親会社の子会社に対する投資の金額は、支配獲得日の時価による。

(2) 子会社の資本は、子会社の個別貸借対照表上の純資産の部における株主資本及び評価・換算差額等と評価差額からなる。

24. 親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本との相殺消去にあたり、差額が生じる場合には、当該差額をのれん(又は負ののれん)とする。なお、のれん(又は負ののれん)は、企業結合会計基準第 32 項(又は第 33 項)に従って会計処理する。  

26. 子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分は、非支配株主持分とする(注7)。

 

(注6) 投資と資本の相殺消去について
支配獲得日において算定した子会社の資本のうち親会社に帰属する部分を投資と相殺消去し、支配獲得日後に生じた子会社の利益剰余金及び評価・換算差額等のうち親会社に帰属する部分は、利益剰余金及び評価・換算差額等として処理する。

(注7) 非支配株主持分について
(1) 支配獲得日の子会社の資本は、親会社に帰属する部分と非支配株主に帰属する部分とに分け、前者は親会社の投資と相殺消去し、後者は非支配株主持分として処理する。

(2) 支配獲得日後に生じた子会社の利益剰余金及び評価・換算差額等のうち非支配株主に帰属する部分は、非支配株主持分として処理する。

 

(仕訳)

資本金     500 / S社株式     900

繰越利益剰余金 300   非支配株主持分 360*1

評価差額    100

のれん     360*2

 

*1 (500+300+100)×40% = 360

*2 900 -(500+300+100)×60% = 360

 

(vol.67へ続く)