かいけいがく vol.42 - 概念フレームワーク Part.3 -

(vol.41から続く)

 

前回までは財務報告の目的、そして会計情報が備えるべき特性についてでした。

今回は財務諸表の構成要素についてみていきます。

財務諸表には財務報告の目的を達成することが求められており、

構成要素はその役割を果たすことになります。

 

まずは定義を確認しましょう!

それぞれの構成要素は相互に関連して定義されています。

関連性は以下のとおりです。

 

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ひとつずつみていきましょう(*´∀`*)
(以下、赤字は筆者強調)

 

4. 資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう(2)(3)。  

 

(2) ここでいう支配とは、所有権の有無にかかわらず、報告主体が経済的資源を利用し、そこから生み出される便益を享受できる状態をいう。経済的資源とは、キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をいい、実物財に限らず、金融資産及びそれらとの同等物を含む。経済資源は市場での処分可能性を有する場合もあれば、そうでない場合もある。
(3) 一般に、繰延費用と呼ばれてきたものでも、将来の便益が得られると期待できるのであれば、それは、資産の定義には必ずしも反していない。

その資産計上がもし否定されるとしたら、資産の定義によるのではなく、認識・測定の要件または制約による。

 

5. 負債とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務、またはその同等物をいう(4)(5)。  

 

(4) ここでいう義務の同等物には、法律上の義務に準じるものが含まれる。

(5) 繰延収益は、この概念フレームワークでは、原則として、純資産のうち株主資本以外の部分となる。

 

6. 純資産とは、資産と負債の差額をいう。  

 

つまり、将来のお金をゲットするための資源が資産、資産を引き渡す義務及び同等物を負債、資産と負債の差額が純資産となるわけです。

 

 また、純資産の内訳として株主資本があります。

 

7. 株主資本とは、純資産のうち報告主体の所有者である株主(連結財務諸表の場合には親会社株主)に帰属する部分をいう(6)(7)。  

 

(6) ここで報告主体の所有者である株主に帰属する部分とは、報告主体の所有者との直接的な取引によって発生した部分、及び投資のリスクから解放された部分のうち、報告主体の所有者に割り当てられた部分をいう。

(7) 株主資本は、株主との直接的な取引、または、株主に帰属する純利益によって増減する。その結果、子会社の少数株主との直接的な取引や、オプション所有者との直接的な取引で発生した部分は、株主資本から除かれる。

 

出資者たる株主に関する持ち分が株主資本というわけです。

 

次に純資産に関連して包括利益と純利益が定義されます。

 

8. 包括利益とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び将来それらになり得るオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう(8)。

 

(8) 直接的な取引の典型例は、親会社の増資による親会社株主持分の増加、いわゆる資本連結手続を通じた少数株主持分の発生、新株予約権の発行などである。

なお、純資産を構成する項目間の振替であっても、それらの項目の一部がここでいう直接的な取引によらないものであるときは、その部分が包括利益に含められる場合もある。  

 

9. 純利益とは、特定期間の期末までに生じた純資産の変動額(報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び前項にいうオプションの所有者との直接的な取引による部分を除く。)のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、報告主体の所有者に帰属する部分をいう
純利益は、純資産のうちもっぱら株主資本だけを増減させる。  

 

ここで「投資のリスクから解放された」といった表現を用いていますが、この意味について補足します。

 

23. ・・・投資のリスクとは、投資の成果の不確定性であるから、成果が事実となれば、それはリスクから解放されることになる。 ・・・

 

投資にあたって期待された成果が現実のものになることが、「投資のリスクからの解放」と表現されます。

 

そして収益と費用を純利益に関連付けて定義しています。

 

13. 収益とは、純利益または少数株主損益を増加させる項目であり、特定期間の期末までに生じた資産の増加や負債の減少に見合う額のうち、投資のリスクから解放された部分である(12)。・・・

 

(12) 収益は、多くの場合、同時に資産の増加や負債の減少を伴うが、そうでないケースには、純資産を構成する項目間の振替と同時に収益が計上される場合(新株予約権が失効した場合や過年度の包括利益をリサイクリングした場合など)がある。 

 

15. 費用とは、純利益または少数株主損益を減少させる項目であり、特定期間の期末までに生じた資産の減少や負債の増加に見合う額のうち、投資のリスクから解放された部分である(13)。・・・

 

(13) 費用は、多くの場合、同時に資産の減少や負債の増加を伴うが、そうでないケースには、純資産を構成する項目間の振替と同時に費用が計上される場合(過年度の包括利益をリサイクリングした場合など)がある。 

 

(vol.43へ続く)