かいけいがく vol.39 - 純資産 Part.3 -
(vol.38から続く)
純資産について、最後に自己株式をみてみましょう。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第8条23項
23 この規則において、「自己株式」とは、財務諸表提出会社が保有する財務諸表提出会社の株式をいう。
自己株式は発行した株式を買い戻すことになるので、利益の配当と同等の効力をもちます。ただし、配当は市場に流通する株式数が変わらないのに対して、自己株式の取得は市場で流通する株式が減少することになります。
企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」
7. 取得した自己株式は、取得原価をもって純資産の部の株主資本から控除する。
8. 期末に保有する自己株式は、純資産の部の株主資本の末尾に自己株式として一括して控除する形式で表示する。
取得したときの価額で純資産に計上し、株主資本から控除して表示します。
例)A社は自己株式10,000を取得した。
(仕訳)
自己株式 10,000 / 現金 10,000
次に取得した自己株式を処分したときはどうでしょうか。
企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」
9. 自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上する。
10. 自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額する。
例)A社は10,000で取得した自己株式を12,000で処分した。
(仕訳)
現金 12,000 / 自己株式 10,000
その他資本剰余金 2,000
また、保有する自己株式を消却する場合もあります。
企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」
11. 自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
例)A社は10,000で取得した自己株式を消却した。
(仕訳)
その他資本剰余金 10,000 / 自己株式 10,000
なお、上記の処理にかかる付随費用は営業外費用とします。
企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」
14. 自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上する。
例)自己株式10,000を手数料100を支払って取得した。
(仕訳)
自己株式 10,000 / 現金 10,100
支払手数料 100
自己株式に関する取引は株主との間の資本取引となるので、処分差損益はその他資本剰余金で処分されるということです。
(vol.40へ続く)