かいけいがく vol.40 - 概念フレームワーク Part.1 -
(vol.39から続く)
今回は概念フレームワークについて解説します。
いきなりマッチョなワードが出てきましたが、こちらを学ぶことで、
今までみてきたことの理解に役立つかと思います。
内容がかなり抽象的で難解ですが、できる限り噛み砕いて解説していきます。
まずはそもそも概念フレームワークとは何か?何故必要なのか?についてです。
概念フレームワーク = 企業会計(特に財務会計)の基本的な枠組みをまとめたもの
財務会計の基本的な考え方、理論的な体系が概念フレームワークとなります。
日本においては、企業会計基準委員会というところが、公式見解ではありませんが、ワーキンググループで討議した結果である、討議資料「財務会計の概念フレームワーク」を公開しています。
(以下で述べることはこの公開資料を説明しています。)
では何故、個別の論点ごとの会計基準が設定されている中で、概念フレームワークのようなものが必要なのでしょうか?
もともと、会計基準というものは実務上、広く利用されているルールをまとめたものとなっています。
退職金を支払う慣行があるから退職給付のための会計基準があるといった具合です。
そうやって実際に行われている取引から”抽出”してルールを設定されるからこそ、会計基準は一般に公正妥当と言われるわけです。
(一般に公正妥当な会計基準:Generally Accepted Accounting Principles)
また、このように実際に利用されている事項から、みなが従うべきルールを作っていく方法を帰納的アプローチといったりします。
この方法は実務上、行われているので定着しやすく、皆さんの合意を得やすいですが、いくつか問題があります。
まずは、新しい事象には適用ができないことです。
昨今、AIや暗号資産などの新たな分野が注目されています。
技術が進歩して、日々刻々と世の中が移り変わっていく中で、そのような分野にはどのようなルールを適用して、会計処理を行えばいいのか?
なかなか答えがでません。今までの蓄積がないからです。
類似の事象ならば、援用することも可能かもしれませんが、
そうでない場合には何かを基準としたルールの設定が必要です。
もうひとつの問題点は、既存の会計基準間の整合性が図られないことです。
実務的に行われていることからルールをつくる場合、それらの間の考え方に整合性が必要ですが、整合性が保証されることはありません。
そもそもの出発点を別にしているからです。
このように帰納的アプローチでの会計基準の設定に不都合がある場合、
別の方法が必要になるということです。
そこで概念フレームワークの登場です。
(vol.41へ続く)