かいけいがく vol.37 - 純資産 Part.1 -

(vol.36から続く)

 

前回まで資産、負債について一通りみてきました。

今回からは純資産について説明します。

 

まずは構成からみていきましょう!

 

企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準

 

4. 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産の部に区分し、純資産の部は、株主資本と株主資本以外の各項目(第 7 項参照)に区分する。

5. 株主資本は、資本金、資本剰余金及び利益剰余金に区分する。

6. 個別貸借対照表上、資本剰余金及び利益剰余金は、さらに次のとおり区分する。

(1) 資本剰余金は、資本準備金及び資本準備金以外の資本剰余金(以下「その他資本剰余金」という。)に区分する。

(2) 利益剰余金は、利益準備金及び利益準備金以外の利益剰余金(以下「その他利益剰余金」という。)に区分し、その他利益剰余金のうち、任意積立金のように、株主総会又は取締役会の決議に基づき設定される項目については、その内容を示す科目をもって表示し、それ以外については繰越利益剰余金にて表示する。


7. 株主資本以外の各項目は、次の区分とする。

(1) 個別貸借対照表上、評価・換算差額等(第 8 項参照)、株式引受権及び新株予約権に区分する。

(2) 連結貸借対照表上、評価・換算差額等(第 8 項参照)、株式引受権、新株予約権及び非支配株主持分に区分する。

なお、連結貸借対照表において、連結子会社の個別貸借対照表上、純資産の部に計上されている評価・換算差額等は、持分比率に基づき親会社持分割合と非支配株主持分割合とに按分し、親会社持分割合は当該区分において記載し、非支配株主持分割合は非支配株主持分に含めて記載する。

8. 評価・換算差額等には、その他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益のように、資産又は負債は時価をもって貸借対照表価額としているが当該資産又は負債に係る評価差額を当期の損益としていない場合の当該評価差額や、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額等が含まれる。

当該評価・換算差額等は、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、退職給付に係る調整累計額等その内容を示す科目をもって表示する。

なお、当該評価・換算差額等については、これらに係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額を控除した金額を記載することとなる。

 

上記内容を要約すると、以下のとおりです。

 

・株主資本

 -資本金

 -資本剰余金

  -資本準備金

  -その他資本剰余金

 -利益剰余金

  -利益準備金

  -その他利益剰余金

   -任意積立金

   -繰越利益剰余金

 

・株主資本以外

 -評価・換算差額等

 -株式引受権

 -新株予約権

 

引用元:企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」

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純資産の部は内容により、いくつかに区分して記録されます。

ひとつずつみていきましょう。

 

株主資本

会社法第445条第1項

 

株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。 

 

資本金は会社を設立するにあたっての元手のことです。

 

会社法第445条第2,3項

 

2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。 

 

出資にあたって、資本金に計上しなかった金額は資本準備金とします。

 

なお、資本剰余金として資本準備金以外にその他資本剰余金がありますが、

これは配当の際の原資となるものです。

 

会社法第453条

 

株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。 

 

利益剰余金は事業により稼いだ利益の蓄積です。

そのうち、一定金額は利益準備金として積み立てる必要があります。

 

会社法第445条第4項

 

4 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。 

 

その他利益剰余金は任意積立金と繰越利益剰余金から構成されます。

任意積立金は会社が任意で積み立てるものです。

 

会社法第452条

 

株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分(前目に定めるもの及び剰余金の配当その他株式会社の財産を処分するものを除く。)をすることができる。この場合においては、当該剰余金の処分の額その他の法務省令で定める事項を定めなければならない。 

 

それ以外のその他利益剰余金は繰越利益剰余金となり、その他資本剰余金と同様に配当の際の原資となります。

 

(vol.38へ続く)