かいけいがく vol.67 - 連結 Part.5 -

(vol.66から続く)

 

前回の設例を前提として、翌x2年3月期の連結上の会計処理をみてみましょう。

 

x1年3月31日に生じた、のれんはどのように処理するでしょうか?

 

企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準

 

32. のれんは、資産に計上し、20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。

ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。  

 

ここでは、10年間の定額償却を行うとします。

 

(仕訳)

のれん償却 36 / のれん 36*1

*1 360 ÷ 10 = 36

 

次に、子会社S社が計上した当期純利益についてです。

親会社P社の持分60%以外の非支配株主持分額を非支配株主持分に振り替えます。

S社がx2年3月期に計上した当期純利益を200とします。

 

(仕訳)

非支配株主に帰属する当期純利益 80 / 非支配株主持分 80*2

*2 200 × 40% = 80

 

さて、x2年3月31日にP社がS社株式を追加で20%取得したとします。

この場合の会計処理を考えてみましょう。

 

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準

 

28. 子会社株式(子会社出資金を含む。以下同じ。)を追加取得した場合には、追加取得した株式(出資金を含む。以下同じ。)に対応する持分を非支配株主持分から減額し、追加取得により増加した親会社の持分(以下「追加取得持分」という。)を追加投資額と相殺消去する。追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は、資本剰余金とする(注8)。

 

(注8) 子会社株式の追加取得について

(1) 追加取得持分及び減額する非支配株主持分は、追加取得日における非支配株主持分の額により計算する。

(2) (削 除)  

 

x2年3月31日時点のS社のB/Sは以下のとおりです。

 

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(仕訳)

S社株式の追加取得分と対応する非支配株主持分を相殺します。

なお、差分は資本剰余金で処理します。

S社追加取得分:300(20%)

 

非支配株主持分 220*3 / S社株式 300

資本剰余金     80

 

*3 (500+500+100)× 20% = 220

 

(vol.68へ続く)