かいけいがく vol.43 - 概念フレームワーク Part.4 -

(vol.42から続く)

 

最後に財務諸表における認識と測定についてです。

1. 財務諸表における認識とは、構成要素を財務諸表の本体に計上することをいう。
2. 財務諸表における測定とは、財務諸表に計上される諸項目に貨幣額を割り当てることをいう。 

 

定義を満たした要素を財務諸表に計上する「認識」、計上された要素に金額を割り当てるのが「測定」です。

 

まずは認識ですが、制約条件あります。

 

3. 第 3 章「財務諸表の構成要素」の定義を充足した各種項目の認識は、基礎となる契約の原則として少なくとも一方の履行が契機となる。さらに、いったん認識した資産・負債に生じた価値の変動も、新たな構成要素を認識する契機となる。  

 

契約の当事者のどちらかの履行が必要なわけです。

例外として、一部の金融商品はどちらも未履行でもOKとされる場合があります。

 

また、一定程度の発生の可能性(蓋然性)が求められます。

発生の可能性の乏しいものを計上すると、関係者の誤解を招く恐れがあるからです。

 

認識された要素については、次に金額を割り当てる測定に話は移ります。

 

表形式で全体像をまとめてみます。

資産 - 取得価額

   - 市場価額

   - 割引価値

   - 入金予定額(決済価額または将来収入額) 

   - 被投資企業の純資産額に基づく額 

 

負債 - 支払予定額(決済価額または将来支出額) 

   - 現金受入額

   - 割引価値

   - 市場価格

 

収益 - 交換に着目した収益の測定
   - 市場価格の変動に着目した収益の測定
   - 契約の部分的な履行に着目した収益の測定
   - 被投資企業の活動成果に着目した収益の測定

 

費用 - 交換に着目した費用の測定

   - 市場価格の変動に着目した費用の測定 

   - 契約の部分的な履行に着目した費用の測定

   - 利用の事実に着目した費用の測定 

 

ひとつずつみていくときりがないので、詳細な説明は割愛します。

ご興味のある方は以下のリンクから確認してみてください。

討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の公表|企業会計基準委員会:財務会計基準機構

 

ひとつ押さえていただきたいのが、伝統的な会計の考えとしては取得価額が基本とあることです。つまり、買ったときの値段、取引したときの価格で帳簿に記録することです。

ですが、昨今の会計の潮流として、時価(≒公正価値)で評価しようということがあります。

例えば、株式がわかりやすいかと思います。ずっと買ったときの価格ではなく、評価時点での適正な価格で表現します。

ですので、基本的には取得価額を利用しつつ、時価等も併用することになります。

 

このように財務諸表は多様な測定値で表現されることになります。

取得価額や時価、見積もりなども含まれることになるので留意が必要です。

 

以上となります。

 

わかりやすく説明することを心がけたつもりですが、なかなか難しい考え方もあるかと思います。

ですが、私はこの考え方の枠組みは財務会計を理解する際の”骨組み”に役立つと思っています。

もしも、学習をすすめる中で、自分の立ち位置がわからなくなったりした時は、この考え方に戻ってみると見通しがよくなるかもしれません。

 

(vol.44へ続く)