かいけいがく vol.142 - 会計上の見積りの開示 Part.1 -

会計上の見積りについて、企業会計基準第 31 号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」に基づいて、財務諸表の利用者の理解に役立てるため、関連する情報の開示が求められます。

 

まずは、会計上の見積りについて、定義を確認しましょう。

 

企業会計基準第 31 号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」第3項

会計上の見積り」とは、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することをいう(企業会計基準第 24 号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企業会計基準第 24 号」という。)第 4 項(3))。

 

財務諸表を作成するときに、入手できる情報に基づいて合理的な金額を算定することが会計上の見積りです。しかし、会計上の見積りはその方法やどの程度の情報が入手できるかは様々であり、それによって不確実性の程度も異なります。

 

よって、財務諸表に計上された金額のみでは、翌期に影響を与える可能性があるかどうかについて、利用者は理解することが困難です。

 

上記の課題を解決するために、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目について、次の事項を注記します。

 

①.会計上の見積りの内容を表す項目名

②.当年度の財務諸表に計上した金額

③.会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報 

 

③の記載項目として、会計基準では以下の項目が列示されています。

 

企業会計基準第 31 号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」第8項

(1) 当年度の財務諸表に計上した金額の算出方法

(2) 当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定

(3) 翌年度の財務諸表に与える影響 

 

(注)会計上の見積りに関する開示は、2021 年 3 月 31 日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用されます。

 

(參考)

企業会計基準第 31 号「会計上の見積りの開示に関する会計基準