かいけいがく vol.97 - 四半期報告制度 Part.2 -

(vol.96から続く)

 

次は、四半期財務諸表の作成基準について順番にみていきましょう。

 

・一般債権の貸倒見積高

前年度の貸倒実績率等と著しく変動していないと考えられる場合、

四半期会計期間末において、当該貸倒実績率等の合理的な基準を採用できます。

なお、見直し後貸倒実績率等がその後の四半期会計期間においても著しく変動がない場合、見直し後の貸倒実績率等を採用できます。

 

・有価証券の減損処理

四半期会計期間末における有価証券の減損処理の評価損については、いったん採用した方法は、原則として継続適用として、2つの方法が認められています。

 

・四半期切放法:四半期会計期間末の時価等を取得価額とする方法

・四半期洗替法:評価損を翌四半期会計期間の期首に戻し入れる方法

 

なお、 市場価格のない株式等は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合は相当の減額を行います。その際は、入手し得る直近の財務諸表を使用します。

 

 

・実地棚卸の省略

四半期会計期間末の棚卸高は、前年度の実地棚卸高を基礎に、合理的な方法で算定できます。

 

・簿価切り下げの方法

いったん採用した方法は、原則として継続適用を条件に次の方法を選択適用できます。

 

・年度:洗替法 → 四半期:洗替法

・年度:切放法 → 四半期:洗替法又は切放法

 

なお、四半期で洗替法を採用した場合、年度時点で簿価切り下げの判定は、評価損を戻し入れた帳簿価額を利用して行う。

 

四半期における簿価切り下げの処理については、簡便的な方法が認められます。

 

企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」

 

8. 四半期会計期間末における通常の販売目的で保有する棚卸資産の簿価切下げにあたっては、収益性が低下していることが明らかな棚卸資産についてのみ正味売却価額を見積り、簿価切下げを行うことができる。 

 

・経過勘定

利用者の判断を誤らせない限りにおいて、合理的な算定方法による概算額で計上することができます。

 

(参考)

企業会計基準適用指針第 14 号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」

 

(vol.98へ続く)