かいけいがく vol.69 - 連結 Part.7 -
(vol.68から続く)
連結上の手続について、その他の取引もみてみましょう。
例)P社とS社の間に当期、次のような取引があるとする。
・S社はP社の100%子会社である。
・P社の売上高のうち10,000はS社に対するものである。
・P社の売掛金のうち2,000はS社に対するものである。
・P社がS社に販売した商品のうち、4,000が期末時点で在庫に計上されている。
(利益率を25%とする。)
・P社は保有する機械装置10,000を期首に12,000でS社に譲渡した。
当該機械装置の耐用年数は5年、残存価額はゼロとする。
35. 連結会社相互間における商品の売買その他の取引に係る項目は、相殺消去する(注12)。
(注12) 会社相互間取引の相殺消去について
会社相互間取引が連結会社以外の企業を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理する。
親子会社間の取引高は相殺消去する。
(仕訳)
売上高 10,000 / 売上原価 10,000
31. 連結会社相互間の債権と債務とは、相殺消去する(注10)。
(注10) 債権と債務の相殺消去について
(1) 相殺消去の対象となる債権又は債務には、前払費用、未収収益、前受収益及び未払費用で連結会社相互間の取引に関するものを含むものとする。(2) 連結会社が振り出した手形を他の連結会社が銀行割引した場合には、連結貸借対照表上、これを借入金に振り替える。
(3) 引当金のうち、連結会社を対象として引き当てられたことが明らかなものは、これを調整する。
(4) 連結会社が発行した社債で一時所有のものは、相殺消去の対象としないことができる。
(仕訳)
買掛金 2,000 / 売掛金 2,000
36. 連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は、その全額を消去する。ただし、未実現損失については、売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は、消去しない。
37. 未実現損益の金額に重要性が乏しい場合には、これを消去しないことができる。
38. 売手側の子会社に非支配株主が存在する場合には、未実現損益は、親会社と非支配株主の持分比率に応じて、親会社の持分と非支配株主持分に配分する。
企業グループ内で取引されて内部利益が計上されている場合には、
適切に消去する必要があります。
(仕訳)
・棚卸資産
売上原価 1,000 / 棚卸資産 1,000*1
*1 4,000 × 25% = 1,000
・機械装置
固定資産売却益 2,000 / 機械装置 2,000*2
*2 12,000 - 10,000 = 2,000
また、S社の個別B/Sに計上されている機械装置の帳簿価額は内部利益の分だけ
過大となっており、減価償却費が余計に計上されているので消去する。
*3 2,000 ÷ 5 = 400
(vol.70へ続く)