資本連結 - vol.1 -
連結財務諸表を作成する際には、各社の個別財務諸表を合算した後に、連結修正仕訳を折り込みます。連結修正仕訳は親会社の投資と子会社の資本の相殺を行う資本連結と各社の取引を相殺する成果連結に分けることが出来ます。
ここでは、資本連結について整理したいと思います。
1.資本と投資の範囲
まずは相殺消去の対象となる親会社の投資と子会社の資本の範囲を明確にしておきます。
投資:親会社の個別上F/Sの投資原価(支配獲得日の時価で評価)
資本:子会社の個別F/Sの株主資本・評価換算差額等+資産・負債の評価差額
2.資産・負債の評価
支配獲得日において、子会社のすべての資産・負債を時価により評価することになります。この方法を全面時価評価法と呼びます。
3.投資と資本の相殺消去
こちらは設例で確認しましょう。
例)P社はA社の全株式を2020年4月1日に105,000で取得した。支配獲得時点のA社のB/Sは以下のとおりである。
支配獲得時点における土地の評価額は6,000である。それ以外の資産については簿価と時価に差異はないものとする。また、税効果は考慮外とする。
(仕訳)
・A社修正仕訳
土地 1,000 / 評価差額 1,000
・連結修正仕訳
資本 100,000 / A社株式 105,000
評価差額 1,000
のれん 4,000
ここでのれんの処理についてルールを確認しましょう。
企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」第24項
24. 親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本との相殺消去にあたり、差額が生じる場合には、当該差額をのれん(又は負ののれん)とする。なお、のれん(又は負ののれん)は、企業結合会計基準第 32 項(又は第 33 項)に従って会計処理する。
企業会計基準第 21 号「企業結合に関する会計基準」第32項
32. のれんは、資産に計上し、20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。
ここでは、5年で定額償却するものとします。
・期末時の処理
のれん償却費 800 / のれん 800*1
*1 4,000 ÷ 5 = 800
(vol.2へ続く)