かいけいがく vol.141 - 賃貸等不動産 Part.1 -

財務諸表の注記事項として、賃貸等不動産に関する注記があります。今回は、賃貸等不動産の注記で何が求められているのかについて解説してみます。

 

まずは、賃貸等不動産の定義について確認しましょう。

 

企業会計基準第 20 号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準 」第4項(2)「賃貸等不動産」とは、棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的として保有されている不動産(ファイナンス・リース取引の貸手における不動産を除く。)をいう。したがって、物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用されている場合は賃貸等不動産には含まれない。

 

つまり、誰かに貸したり、不動産自体を売買することで利益を得る目的で保有する不動産を賃貸等不動産と言います。また、販売等をする目的で在庫(棚卸資産)に計上している不動産は除きます。

 

より具体的に賃貸等不動産の範囲について列挙してみましょう!

 

・投資用に所有している土地や建物やその他不動産

・遊休不動産

・将来に使用予定で開発中の不動産

・再開発中で継続して賃貸等不動産として所有している不動産

・賃貸目的だが、一時的に借り手がいない不動産

・その他賃貸に利用されている不動産

 

なお、不動産の中には、賃貸等不動産とそれ以外(経営管理用に利用されている場合等)で構成されているものもあります。その場合、賃貸等不動産として利用されている場合は、賃貸等不動産に含めます。なお、賃貸等不動産としての使用割合が低い場合は賃貸等不動産に含めないことができます。

 

では、具体的に何が注記事項として求められているのかについて整理しましょう。

 

企業会計基準第 20 号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準 」第8項

賃貸等不動産を保有している場合は、次の事項を注記する。

ただし、賃貸等不動産の総額に重要性が乏しい場合は注記を省略することができる。また、管理状況等に応じて、注記事項を用途別、地域別等に区分して開示することができる。 

(1) 賃貸等不動産の概要

(2) 賃貸等不動産の貸借対照表計上額及び期中における主な変動

(3) 賃貸等不動産の当期末における時価及びその算定方法

(4) 賃貸等不動産に関する損益 

 

なお、連結F/Sで賃貸等不動産に関する注記を行う場合、賃貸等不動産の判定は連結の観点で行います。

 

(參考)

企業会計基準第 20 号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準

企業会計基準適用指針第 23 号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適
用指針 」

 

(vol.142へ続く)