かいけいがく vol.86 - 内部統制 Part.2 -
(vol.85から続く)
内部統制を整備および運用する責任は経営者にあります。
特に、財務報告の信頼性を確保するため該当する内部統制については、
一般に公正妥当と認められる内部統制の評価の基準に準拠して、
有効性を自ら評価・報告することが求められます。
では、どのように財務報告に係る内部統制を構築するのでしょうか?
全体の流れとしては以下のとおりです。
1.基本的な計画および方針の決定
取締役会で内部統制の基本方針を決定
→経営者は財務報告に係る内部統制を全社レベル、業務レベルで実施するために、
基本的な計画および方針を決定
⇓
2.内部統制の整備状況の把握
経営者は内部統制の整備状況を把握して、結果を記録・保存する。
⇓
3.不備への対応及び是正
把握された不備は適切に是正する。
経営者は整備・運用されている内部統制については、有効性を評価・報告することが
求められますが、経営者が行う評価プロセスは以下のとおりです。
1.全社的な内部統制(CLC:Company Level Controls )の評価
原則、全ての事業拠点について全社的な観点で評価
決算・財務報告に係る業務プロセス(FSCP:Financial Statements Close Process )の評価
→全社的な観点での評価が適切なものについては、全社的な内部統制に準じて評価
⇓
2.業務プロセス(PLC:Process Level Controls)の評価
(ⅰ)重要な事業拠点の選定
売上高などを用いて金額の高い拠点から合算する。
全体の一定割合(例えば、概ね3分の2程度)に達するまで重要な事業拠点として選定する。
(ⅱ)評価対象となるプロセスを識別
・重要な事業拠点
事業目的に大きく関わる勘定科目に至るプロセスは、原則として評価対象
(一般的な事業会社においては、原則、売上、売掛金、棚卸資産)
・それ以外の事業拠点
財務報告への影響を考慮して、重要性の高いプロセスを個別に評価プロセスに追加
(CLCの評価結果を踏まえて、PLCの評価範囲、方法等を考慮する)
⇓
3.評価範囲について、監査人と協議
⇓
4.評価対象となるPLCの評価
⇓
5.報告
・不備が発見された場合、期末日までに是正する。
・開示すべき重要な不備が期末日にある場合には開示する。
(vol.87へ続く)