かいけいがく vol.75 - ヘッジ会計 Part.1 -

(vol.74から続く)

 

会社は事業活動を営む上で様々なリスクに晒されることになります。

為替や金利、相場の変動のリスクを抱えています。

 

ここでいうリスクの意味を確認しておきます。

一般的に「リスク=危険」と認識されていますが、

ここで言うリスクとは、将来の不確実性のことです。

 

リスク = 将来の不確実性

 

つまり、将来のことはわからないので、適切にリスクの評価・対応を行って、

為替や金利が大幅に乱高下することを避ける方策を取る必要があります。

 

リスクを適切に低減させる取引はヘッジ取引と呼ばれます。

 

(ヘッジ取引の説明)

ヘッジ取引は、ヘッジ対象の相場変動を相殺するか、キャッシュ・フローを固定して、

ヘッジ対象の相場変動等による損失を減殺するために、デリバティブ取引をヘッジ手段として利用する取引です。

 

デリバティブ取引により生じる正味の債権・債務は、時価でB/S計上されて、評価差額は当期の損益として処理されます。

この際、ヘッジ対象である資産についての相場変動が損益に反映されない場合、

ヘッジ関係が適切に財務諸表に反映されません。

 

そこでヘッジ対象とヘッジ手段の損益を同一会計期間に認識することにより、

ヘッジの効果を適切に財務諸表に反映させるヘッジ会計が必要になります。

 

なお、どんなときにでもヘッジ取引にヘッジ会計が適用できるわけではありません。

会計基準上、ヘッジ会計が適用できる要件を定めています。

 

企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準

 

31. ヘッジ取引にヘッジ会計が適用されるのは、次の要件がすべて充たされた場合とする。
(1) ヘッジ取引時において、ヘッジ取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、次のいずれかによって客観的に認められること

① 当該取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、文書により確認できること

② 企業のリスク管理方針に関して明確な内部規定及び内部統制組織が存在し、当該取引がこれに従って処理されることが期待されること

(2) ヘッジ取引時以降において、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態又はヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定されその変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果が定期的に確認されていること  

 

(vol.76へ続く)