かいけいがく vol.91 - 1株あたり情報 Part.2 -

(vol.90から続く)

 

次は潜在株式の影響を加味した場合の1株当たり当期純利益(以下、潜在株式調整後1株当たり当期純利益)についてです。

まずは潜在株式について確認しましょう。

 

企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準

 

9. 「潜在株式」とは、その保有者が普通株式を取得することができる権利若しくは普通株式への転換請求権又はこれらに準じる権利が付された証券又は契約をいい、例えば、ワラントや転換証券が含まれる。 

 

潜在株式の権利行使を仮定した場合、普通株式数が増加しますので、

潜在株式は希薄化効果を有することがあります。

 

次に算式を確認します。

企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準

 

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

=(普通株式に係る当期純利益当期純利益調整額 )

 ÷ (普通株式の期中平均株式数+普通株式増加数 )  

 

潜在株式としては様々なものがありますが、ここでは以下の3つを取り上げます。

・配当優先株式

新株予約権社債

新株予約権

 

ひとつずつみていきましょう。

 

配当優先株式

 

例)前提条件を次のとおりとする。

当期純利益:500,000,000円

・非累積型配当優先株式

  -発行済株式数 1,500,000株

  -×1年度末日を基準日とする剰余金の配当に係る優先配当額 20,000,000円

・配当優先株式1株は普通株式1株に転換可能とする。

普通株式期中平均株式数:25,000,000

 

(計算式)

1株あたり当期純利益 = (500,000,000 - 20,000,000)円 ÷ 25,000,000株

           = 19.2円/株

 

非累積型配当優先株式

当期純利益調整額:20,000,000円 ÷ 普通株式増加数:1,500,000株 

= 潜在株式調整後1株当たり当期純利益調整額:13.3円/株

 

13.3円/株 < 19.2円/株 となるので、希薄化効果を有する。

 

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

=(480,000,000+20,000,000)÷(25,000,000+1,500,000)

=18.8円/株

 

(vol.92へ続く)