初期設定の重要性 - 制度設計の観点より -

会計報告制度に限らず、あらゆる制度は初めにどのように制度を設計するのか、という観点がすごく重要だと考えています。どのような思想によって制度を設計するのか、これから起こりうることをどれほど想像力を発揮して把握できているか、誰がどの程度のスキルを有しているものとして制度を設計しているか・・・考慮するべき事項は多岐にわたり、突き詰めて考えていくと、とても難しい問題だとわかります。

 

多くの制度が最初の段階でそれほど考慮せずに、そしてその後もツギハギで制度が作られている、運用されている場合は相当数に上るように思えてなりません。あらゆる制度がその場しのぎの対応が累積してしまったがために、後に続く方々が本来であれば不必要と思われる対応を強いられる。。。社会的に不要なコストが費やされている現状を目の当たりにすると、何とも言えない気持ちになります。

 

目の前に与えられたタスクを処理することは多くの人が得意としている印象です。それは学校教育の成果でしょうし、会社内での経験の賜物でしょう。しかし、俯瞰して物事を観察する、想像力を発揮する、誰も教えてくれないし、誰も想像できていないことを”読む”能力、”想像”する能力を発揮できている人は(私も含めて)それほど、いや、ほとんどいないと言ってもいいのではないでしょうか??

 

それは繊細微妙な話ですし、万人が身につけられるスキルではないかもしれません。しかし、誰かしらがやらなければいけない仕事のように思えてなりません。何か問題が置きた際に、表面的な現象にばかり目がいってしまうことは普通です。その根本原因まで遡って対応できるのか?

 

多くの人間に才能の違いや生まれ持った能力に違いがないことは自明のことです。大抵の場合は条件、環境の違いによってパフォーマンスが大きく異なるだけのことでしょう。だからこそ、制度はどのようなものが望ましいかを議論すべきですが、落ち着いてそのようなことが話し合われることがないことが非常に残念でなりません。