経験は大切だけれども・・・?

『何事も経験が大切』

 

言い古された言葉ですが、もう少し深堀してその意味を考えてみましょう。

 

経験というものは『特定の条件下での望ましい対応』についての蓄積です。ある条件が与えられたときに、どのように対処したら望ましい結果が得られるのか、又は何をしたら良くない結果になってしまうかについてのケーススタディとも言えるでしょう。

 

ここで注意が必要なのは条件は日々刻々と変わっていくという点です。

 

『昔の成功体験から脱却できていない』

 

それも言い古された言葉です。過去の素晴らしい体験を大切にしたい気持ちは人情としては理解できます。その経験が今でも通用する場合もあるでしょう。しかし、物事が変化してしまっているのに、昔ながらのやり方を頑固に貫き通すことは時として弊害を生みます。

 

個人の気持ちとしてはずっと続けてきたことをこれからも大切にしたい。それはわかります。が、競争を前提とした場合、それは優位性を失う結果になることが多いでしょう。どのような観点で物事をみるのか、それは大切です。個人的な趣味の分野であれば、それは個人の自由です。競争を考えた場合、最も時代に適合した方法を採用した人間が勝つのは明らかです。それによって個人の気持ちが損なわれるとしたら、好ましくはありません。

 

なので、私としては経験も大事だが、変化に対応する感性もまた重要なんだと思います。ずっとやってきたことを続けることはある意味、楽です。そこに創意工夫や煩わしい議論は必要とされないからです。でも、大変かもしれないけど、つらいこともあるかもしれないけど、物事は変わっていくんだから・・・という視点を心の片隅にでも置いておくほうが健全だし、実際的な問題にうまく対処できるようにも思えます。