影響力といったことで言えば?
人間は関係性の中に活きる存在ですので、様々な周囲の要素に影響されます。
親、兄弟、教師、友達、上司、恋人、取り巻く人間関係の影響が一番大きいかもしれません。
その他にも思想、哲学、音楽、絵画や彫刻、文学、映画、ドラマ、漫画、食、
対象はとても広い範囲に及ぶでしょう。
「身体が滅んでも概念だけの存在となる」
小松左京さん?の作品だったかと思いますが、そのようなニュアンスのセリフがあった気がします。現代を考察すると、過去からの影響は当然に無視は出来ません。過去の延長として今があるわけですので。
では何が最も人間に影響を与えるのか?
生まれ育った土地に根付く慣習が色濃く影響されることを除いた場合、
思想ではないかと思うのです。
イエスや釈迦が伝えた教えは現代までずっと語り継がれていますし、
思想というと大げさですが、「何を考えて伝えたか」ということが、
それに続く人々の生き方に少なくない影響を与えています。
皮肉なもので、それらの思想は生きづらさを解決するための一つの方針であったはずなのに、それが人々を争いに巻き込んでしまっていることです。
例えば、釈迦は四苦八苦、生きることは苦しみの連続であり、そこからどうやって抜け出すか?、ということを瞑想して見出しました。涅槃に至ることがよい、そのように悟ったといいます。
ちなみに四苦八苦は
・生まれる苦しみ
・老いる苦しみ
・病んでしまう苦しみ
・死ぬ苦しみ
に加えて
・好きな人と別れる苦しみ(愛別離苦)
・嫌な人と会わなければいけない苦しみ(怨憎会苦)
・求めることが手に入らない苦しみ(求不得苦)
・心身が思い通りにならない苦しみ(五蘊盛苦)
のことですね。
昔の人はこれらの苦しみに悩んだといいますが、今も変わらないようです。
「生きることは苦しみに満ちている」、そのことを解決するための教えとして仏教はどうしたらいいのかを教えているわけですね。
より普遍性があるからこそ、何千年前に説かれた教えが今に残っているわけです。
影響力といった時に、人望やカリスマ性、統率力、オーラといった言葉で表現されるものもあります(実際に意味するところはよくわかりませんが)。
しかし、仏教に限らず思想が社会の仕組みを変えるまでに至って伝わることは、
壮大なことです。人間ひとりが何十億という人間の人生を支える基礎となり、
時代を超えて語り継がれるのですから。
「形あるものは滅する」
どんなに素晴らしいモノやヒトでも、いずれは時間の経過とともになくなってしまいます。でも、どのような言葉で語ったか、どのような姿勢で生きたのか、後世まで伝わることを想像すると、面白いと思いませんか?