かいけいがく vol.124 - 相続税 Part.3 -

次に”どのような財産を”、”どのように評価するか”についてです。

 

対象となる財産は多岐に及びますが、一つずつ評価方法についてみてみましょう。

 

・土地

土地の評価方法は2通りの方法があります。

(1)路線価方式

評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 面積

 

(2)倍率方式

路線価が定められていない場合、こちらの方式を採用します。

評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

 

・家屋

こちらは固定資産税評価額がそのまま評価額となります。

評価額 = 固定資産税評価額

 

なお、家屋を増改築した場合の評価額は以下のとおりです。

(増改築した家屋と類似した家屋が付近にない場合を想定)

 

評価額 = 固定資産税評価額 + (増改築費用 - 増改築から評価時までの償却費相当額*1) × 70%

 

*1 増改築から評価時までの償却費相当額 = 増改築費用 × 0.9 × 経過年数 ÷家屋の耐用年数

 

(参考)

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価|国税庁

 

ここで、「小規模宅地等の特例」について説明します。

一定の要件を満たす場合、宅地の評価額を減額することが可能です。

詳細な要件等は以下のリンクを参考にしてください。

No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

 

例えば、自宅にこの特例を適用するとします。

自宅の評価額が8,000万円、面積が200㎡だったとします。

自宅の面積が限度面積(330㎡)以下ですので、この場合、評価額は次のとおりです。

 

評価額 = 8,000万円 × (1 - 0.8) = 1,600万円

 

大幅に評価額を減額することができるので、相続税の計算上は有益な制度です。

 

・借地権

まずは定義を確認しましょう。

 

借地借家法 第2条

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。

 

借地権、定期借地権等、一時利用目的の借地権と分けて考える必要があります。

ここでは一般の借地権の評価についてみてみましょう。

 

借地権の評価額は自分で所有していた場合の土地の価額(自用地価額)に借地権割合を乗じることで求められます。

 

評価額 = 自用地価額 × 借地権割合