外形標準課税 vol.1

本稿では外形標準課税について解説していきます。

 

まずは、そもそも外形標準課税とは何かについて明らかにしておきましょう。

 

地方税法 第72条の12

第七十二条の十二 法人の行う事業に対する事業税の課税標準は、次の各号に掲げる事業税の区分に応じ、当該各号に定めるものによる。

一 付加価値割 各事業年度の付加価値額
二 資本割 各事業年度の資本金等の額
三 所得割 各事業年度の所得
四 収入割 各事業年度の収入金額

 

法人の行う事業に対する事業税(法人事業税)の課税標準、つまり、課税のベースとしては、上記の項目がありますが、そのうち、付加価値と資本金等をベースに税金を計算する制度が外形標準課税です。

 

外形標準 = 付加価値割 + 資本割

 

付加価値割と資本割について順番にみていきましょう。

 

地方税法 第72条の14

第七十二条の十四 第七十二条の十二第一号の各事業年度の付加価値額は、各事業年度の報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額(第七十二条の二十において「収益配分額」という。)と各事業年度の単年度損益との合計額による。

 

付加価値割 = 収益配分額 + 単年度損益

収益配分額 = 報酬給与額 + 純支払利子 + 純支払賃借料

 

収益配分額については、報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料から構成されます。

 

①報酬給与額

報酬給与額 = 役員・使用人に対する報酬、給料、賃金、賞与、退職手当等

+ 確定給付企業年金等の掛金 

 

もしも、労働者派遣を受けた場合は、次の金額を上記の式に加算します。

労働者派遣した者に支払う金額 × 75%

 

逆に、労働者を派遣した者は次の金額を上記の式に加算します。

派遣労働者にかかる報酬額 −  労働者派遣に伴い受け取った金額 × 75%

 

②純支払利子

純支払利子 = 支払利子 − 受取利子

 

③純支払賃借料

純支払賃借料 = 支払賃借料 − 受取賃借料

 

なお、法人税法に定める棚卸資産、有価証券、固定資産、繰延資産に、収益配分額に当てはまる金額が含まれる場合、実際に支出される事業年度で課税標準へ算入します。

 

(vol.2へ続く)