同族会社の取り扱い - vol.2 -

・行為又は計算の否認

同族会社が会社に有利なように法人税の計算をした時には、会社の計算に関わらずに、税務署長は法人税の金額を計算できるという規定が法人税法で明記されています。

法人税法 第132条

税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

 

・みなし役員の給与・賞与

同族会社については、一定の要件を満たす者は、みなし役員の取り扱いが適用されます。

法人税法施行令 第71条

第七十一条 法第三十四条第六項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める役員は、次に掲げる役員とする。

五 前各号に掲げるもののほか、同族会社の役員のうち次に掲げる要件の全てを満たしている者

・・・

 

・留保金課税

最後に留保金課税について確認しましょう。はじめに条文を確認しておきましょう。

法人税法 第67条

内国法人である特定同族会社・・・の各事業年度の留保金額が留保控除額を超える場合には、その特定同族会社に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、・・・これらの規定により計算した法人税の額に、その超える部分の留保金額を次の各号に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に当該各号に定める割合を乗じて計算した金額の合計額を加算した金額とする。
一 年三千万円以下の金額 百分の十
二 年三千万円を超え、年一億円以下の金額 百分の十五
三 年一億円を超える金額 百分の二十

 

ここで、特定同族会社の定義を確認しましょう。

と、その前に被支配会社の定義を先に確認しましょう。

法人税法 第67条第2号

2 ・・・被支配会社とは、会社・・・の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)の一人並びにこれと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。

 

被支配会社とは、一人の株主等並びに特殊な関係にある者が、議決権の過半数を有している会社をいいます。

 

次に特定同族会社についてです。

法人税法 第67条第1号

・・・被支配会社で、被支配会社であることについての判定の基礎となつた株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるもの(資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるものにあつては、前条第六項第二号から第五号までに掲げるものに限る。)をいい、清算中のものを除く。

 

特定同族会社:被支配会社で、その判定に当たり基礎とした株主等のうち、被支配会社である法人を除外した場合でも、被支配会社となるもの

 

特定同族会社に該当する場合、留保金課税の対象となります。

 

では、留保金課税は実際にどのように計算されるのか、計算式を確認しましょう。

 

(計算式)

留保課税金額 = 留保金額 - 留保控除額*1

*1 留保控除額は次の金額のうち、最も大きい金額です。

法人税法第67条第5号)

 

・当期所得金額 × 40%

・2,000万円 × 当期月数 ÷ 12

・期末資本金又は出資金の金額 × 25% - 期末利益積立金額

 

課税留保金額は次の区分にわけてそれぞれの税率を適用して税額を計算します。

 

・3,000万円以下の金額:税率10%

・3,000万円を超えて、1億円以下の金額:15%

・1億円を超える金額:20%

 

以上となります。

留保金課税は上記以外にも詳細な規定な色々とありますので、実際に計算する際には、専門家にご相談したり、関連する条文を参照することを強く推奨します。

 

(参考)

法人税法 | e-Gov法令検索