みなし譲渡課税の処理について vol.1
みなし譲渡とは、無償または著しく低い価額により資産を譲渡した場合、時価で譲渡したとみなして課税する税務上のルールです。
ここでは、課税関係を以下の4つに分類した上で、それぞれの税務上の取り扱いはどのようになるのかについて、解説したいと思います。
1.個人から個人
2.個人から法人
3.法人から法人
4.法人から個人
1.個人から個人
まずは復習ですが、譲渡所得は次の算式に基づいて計算するのでした。
譲渡所得 = 総収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
上記の算式に基づいて譲渡人は譲渡所得が課税されます。譲受人は課税されません。
ですが、著しく低い価額等により譲渡がなされた場合、譲受人には贈与税が課税されることになります。
2.個人から法人
まずはルールを参照しておきましょう。
所得税法 第59条
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
通常は、譲渡人の個人に譲渡所得が課税され、譲受人である法人には課税されません。
ですが、著しく低い価額等により譲渡された場合、譲渡人である個人は時価で譲渡したものとして課税されることになります。さらに、譲受人である法人では時価と対価との差額が受贈益として法人税が課税されます。
(vol.2へ続く)