所得税 - 源泉徴収 vol.2 -

源泉徴収の対象となる給与所得の範囲について整理しましょう。まずは、所得税法上の、定義からみてみましょう。

所得税法 第28条

給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与・・・に係る所得をいう。

 

残業手当や休日出勤手当等の各種手当ても原則として、給与所得を構成します。金銭以外の現物給付も原則として給与所得となりますが、課税上は特別の配慮がなされます。なお、経済的利益としては次のようなものがあります。

所得税基本通達 36-15

・・・

(1) 物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益

(2) 土地、家屋その他の資産(金銭を除く。)の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益

(3) 金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益

(4) (2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益

(5) 買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益

 

その他、給与所得を構成するものにどのようなものがあるか、幾つか例示します。

 

1.社宅の貸与

従業員に社宅を貸与する場合、1月あたり一定額以上の家賃(賃借料相当額)を受け取れば課税されません。無償、賃借料相当額より低い家賃を受け取っている場合は課税対象ですが、賃借料相当額の50%以上を受け取っている場合は課税はありません。

 

2.食事の支給

役員・従業員に対して食事を支給した場合、次の要件を満たせば食事の支給は給与所得として課税されません。

国税庁HP タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき

(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2) 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税及び地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)