金銭等の信託に係る会計処理 vol.5
基本的なパターンについての会計処理について整理したところで、その他の取引の場合について整理してみます。
1.事業の信託
(1)委託者兼当初受益者:単数
原則的な処理
(信託設定時)
損益は計上されない。
(売却時)
信託財産を直接保有することとして会計処理を行うので、受益権を売却した場合、事業を直接移転したとして売却の要否の判断を行うことになります。
(期末時)
総額法により処理することになります。
受益権が質的に異なるものに分割されている場合や受益者が多数となる場合の取
扱い
この場合、受益権を信託に対する有価証券とみなして処理します。ただし、受益権を売却した場合、上記と同様に、事業を直接に移転したとして売却の要否の判断を行います。
また、連結上、信託が子会社又は関連会社に該当するのかの判定を行うことになります。
(2)委託者兼当初受益者:複数
前稿で記載した④.信託財産:金銭以外、委託者兼当初受益者:複数の場合に準じて処理することになります。
2.目的信託
まずは、言葉を確認しておきましょう。
目的信託:受益者の定めのない信託
原則として、委託者の財産として処理します。
ただし、契約内容等から信託財産の経済的効果が委託者に帰属しないことが明らかな場合、委託者の財産として取り扱いません。
(參考)
実務対応報告第 23 号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い 」