信託に関する税務 - vol.3 -

(以降、法人税法を中心に税法を参照することにします。)

もしも受益者が複数人いる場合、税法の取り扱いはどうなるでしょうか?

法人税法施行令 第15条第4項

・・・受益者・・・が二以上ある場合・・・、・・・信託の信託財産に属する資産及び負債の全部をそれぞれの受益者がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部がそれぞれの受益者にその有する権利の内容に応じて帰せられるものとする。

受益者が複数人いる場合は、それぞれの権利内容に応じて資産・負債、収益・費用が帰属するものとします。

 

次に、収益と費用の帰属する期間についてです。

法人税基本通達 14-4-2 

法人が受益者等課税信託の受益者・・・である場合において、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該受益者等である当該法人の収益及び費用とみなされる当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業年度の期間に対応する収益及び費用となるのであるから、留意する。

 

信託財産に帰属する収益と費用は、法人の事業年度に対応する収益と費用となります。

また、受益者は信託財産から生じる損益のみを法人の収益又は費用とするのではなく、信託財産に属する資産・負債を有するものとし、信託財産に帰属する収益・費用をその法人の収益・費用とします。

法人税基本通達 14-4-3 

受益者等課税信託の受益者等である法人は、当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該法人の収益又は費用とするのではなく、当該法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該法人のこれらの金額として各事業年度の所得の金額の計算を行うのであるから、留意する。

 

(vol.4へ続く)