不正史 vol.3 - 不正のトライアングル Part.1 -
他山の石以て玉を攻むべし
他山之石 可以攻玉
- 『詩経』
不正に関して有名な理論として、不正のトライアングルというものがあります。有名な理論なので聞いたことがある方もいるかと思います。
不正のトライアングルにおいては、不正の発生する原因として以下の3つが示されています。
・動機・プレッシャー
・機会
・姿勢・正当化
ひとつずつみていきましょう。
・動機・プレッシャー
不正をしようとする動機が当人にあること、不正をする脅威にさらされていることがひとつめの、動機・プレッシャーです。
引用元:企業会計審議会「監査における不正リスク対応基準」 付録1
(1)財務的安定性又は収益性が、次のような一般的経済状況、企業の属する産業又は企業の事業環境により脅かされている。
・ 利益が計上されている又は利益が増加しているにもかかわらず営業活動によるキャッシュ・フローが経常的にマイナスとなっている、又は営業活動からキャッシュ・フローを生み出すことができない。
・ 技術革新、製品陳腐化、利子率等の急激な変化・変動に十分に対応できない。(2)経営者が、次のような第三者からの期待又は要求に応えなければならない過大なプレッシャーを受けている。
・ 経営者の非常に楽観的なプレス・リリースなどにより、証券アナリスト、投資家、大口債権者又はその他外部者が企業の収益力や継続的な成長について過度の又は非現実的な期待をもっている。
・ 取引所の上場基準、債務の返済又はその他借入に係る財務制限条項に抵触しうる状況にある。(3)企業の業績が、次のような関係や取引によって、経営者又は監査役等の個人財産に悪影響を及ぼす可能性がある。
・ 経営者又は監査役等が企業と重要な経済的利害関係を有している。
(4)経営者(子会社の経営者を含む。)、営業担当者、その他の従業員等が、売上や収益性等の財務目標(上長から示されたもの等含む)を達成するために、過大なプレッシャーを受けている。
難しい言葉を使っていますが、簡単に言ってしまうと以下のような状況が考えられるかと思います。
「家のローンの支払いに困っていて・・・」
「遊ぶ金が欲しくて・・・」
「飲みに行く金がなくて・・・」
企業という視点ではなく、個人という視点で書いてみましたが、それほどおかしな話ではないかと思います。
人間、生きていれば苦しい時やつらい時もあるでしょう。そのような時に上記のような生活に関する悩み、ストレスから遊ぶ金欲しさに悪い方に走ってしまうことは十分に考えられます。
確かに人間という生き物を考察した素晴らしい洞察ですね。