公共施設等運営事業の運営権者の会計処理 - vol.1 -

民間資金法(正式名称「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」)において、公共施設等の運営を民間事業者に設定する仕組みが導入されました。この際の公共施設等運営事業の運営権者の会計処理について、企業会計基準委員会から実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」が公表されています。

 

こちらについてみてみましょう。

 

(1)取得時

まずは、取得時の会計処理についてです。

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」第3項

3. 運営権者は、公共施設等運営権を取得した時に、管理者等と運営権者との間で締結された実施契約(民間資金法第 22 条第 1 項に規定する公共施設等運営権実施契約をいう。以下同じ。)において定められた公共施設等運営権の対価(以下「運営権対価」という。)について、合理的に見積られた支出額の総額を無形固定資産として計上する。 

 

(仕訳イメージ)

公共施設等運営権 ×× / 公共施設等運営権に関する負債 ××

 

(留意事項)

・分割での支払い→資産・負債の計上額は運営権対価にかかる支出総額の現在価値

・現在価値の算定については、運営権者の契約不履行のリスクを割引率に反映

・運営権対価と現在価値の差額は運営権設定期間にわたり利息法で配分

・重要な見積もりの変更による差額は資産・負債の金額に加減

・リース会計の対象外

 

(2)減価償却

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」第8項

8. 無形固定資産に計上した公共施設等運営権は、原則として、運営権設定期間を耐用年数として、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分する。 

 

(仕訳イメージ)

減価償却費 ×× / 公共施設等運営権 ××

 

(留意事項)

・運営権設定期間が延長できる条項が定められる場合、運営権者が行使する意思が明らかな場合を除き、延長可能年数は耐用年数に含めない。

 

(3)減損会計

減損会計の対象となります。その際のグルーピングは原則、実施契約に定められた公共施設等運営権の単位で行います。

 

(留意事項)

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」第10項

・・・ただし、管理会計上の区分、投資の意思決定(資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を含む。)を行う際の単位、継続的な収支の把握がなされている単位及び他の単位から生じるキャッシュ・インフローとの相互補完性を考慮し、公共施設等運営事業の対象とする公共施設等ごとに合理的な基準に基づき分割した公共施設等運営権の単位でグルーピングを行うことができる。 

 

(参考)

企業会計基準委員会実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」