資本連結 - vol.3 -

5.子会社株式の追加取得

子会社株式を追加取得した場合の処理についてです。

先にルールを確認しておきましょう。

 

企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」第28項

28. 子会社株式(子会社出資金を含む。以下同じ。)を追加取得した場合には、追加取得した株式(出資金を含む。以下同じ。)に対応する持分を非支配株主持分から減額し、追加取得により増加した親会社の持分(以下「追加取得持分」という。)を追加投資額と相殺消去する。追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は、資本剰余金とする。 

 

文章だけだとイメージが湧きづらいので、設例で確認しましょう。

 

例)P社はA社の株式60%をx1年4月1日に65,000で取得した。支配獲得時点のA社のB/Sは以下のとおりである。支配獲得時点における土地の評価額は6,000である。それ以外の資産については簿価と時価に差異はないものとする。また、税効果は考慮外とする。のれんの償却期間は5年とする。P社、A社ともに決算月は3月とする。x2年3月期のA社の当期純利益は5,000である。

 

f:id:tandonch:20220210103828p:plain

 

x2年4月1日にA社株式10%を15,000で追加取得した。x2年4月1日時点のA社のB/Sは次の通りである。

f:id:tandonch:20220210104154p:plain

 

(仕訳)

x1年4月1日

・A社修正仕訳

土地 1,000 / 評価差額 1,000

 

・連結修正仕訳

資本  100,000  / A社株式     65,000

評価差額 1,000    非支配株主持分 40,400*1

のれん  4,400

*1 (100,000+1000)× 40% = 40,400

 

のれん償却 880 / のれん 880*2

*2 4,400 ÷ 5 = 880

 

非支配株主損益 2,000 / 非支配株主持分 2,000*3

*3 5,000 × 40% = 2,000

 

x2年4月1日

・追加取得

非支配株主持分 10,600*4 / A社株式 15,000

資本剰余金     4,400

*4 (100,000+5,000+1,000)× 10% = 10,600

 

(vol.4へ続く)