不動産鑑定評価基準 vol.2 - 評価手法 -

(前回からの続き)

2.取引事例比較法

取引事例が備えるべき要件として次の3つが示されています。

不動産鑑定評価基準 2.適用方法(1)事例の収集及び選択

① 取引事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。

② 時点修正をすることが可能なものであること。

③ 地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。

 

地域要因、個別的要因とは何でしょうか?

・地域要因

不動産鑑定評価基準 第2節 地域要因

・・・その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。

・個別的要因

不動産鑑定評価基準 第3節 個別的要因

個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。

 

3.収益還元法

不動産鑑定評価基準 Ⅳ 収益還元法 1.意義
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在
価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。)。

 

こちらの評価方式も有効である場合が示されています。

不動産鑑定評価基準 Ⅳ 収益還元法 1.意義

・・・収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。

こちらの手法は市場性のない不動産以外には基本的に適用される手法となります。

 

収益価格を求める手法としては、直接還元法とDCF法があります。

・直接還元法:一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法

・DCF法:複数年の純収益及び売却価格を現在価値に割り戻す手法