税務上の非上場株式の評価 - vol.1 -

非上場株式の評価について、各取引パターンに分類したうえで株式の評価をどのように算定するのかについて整理してみたいと思います。

 

1.個人 → 法人

所得税法上、次のようなルールがあります。

所得税法 第59条 

次に掲げる事由により・・・譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の・・・譲渡所得の金額・・・の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

 

上記の二に定める著しい低い価額は次のように定められております。

所得税法施行令 第169条 

法第五十九条第一項第二号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)に規定する政令で定める額は、同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額とする。

 

また、上記に記載がある「その時における価額」に関しては、所得税基本通達を参照することになります。

所得税基本通達 59-6 

法第59条第1項の規定の適用に当たって、譲渡所得の基因となる資産が株式・・・である場合の同項に規定する「その時における価額」は、23~35共-9に準じて算定した価額による。

 

所得税基本通達23~35共-9を参照すると、非上場株式の評価については次のような規定があります。

所得税基本通達 23~35共-9

イ 売買実例のあるもの 最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額
ロ 公開途上にある株式で、当該株式の上場又は登録に際して株式の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。)が行われるもの(イに該当するものを除く。) 金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方式のいずれかの方式により決定される公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額
(注) 公開途上にある株式とは、金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式をいう。
ハ 売買実例のないものでその株式の発行法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの 当該価額に比準して推定した価額
ニ イからハまでに該当しないもの 権利行使日等又は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額