かいけいがく vol.4 - 総論 Part.4 -

(vol.3より続く)

 

それでは決算書を作成してみましょう。

 

先程の2つの基本式を復習しましょう。

財産の計算には以下の等式が成立しました。

 

資産 = 負債 + 純資産

 

元手として出資したお金は返済義務のないお金なので、純資産として出資した者の取り分となります。一方の負債は、貸してくれた方に期限が来たら返さなくてはいけないお金であり、自分の取り分とは区別する必要があります。

 

いずれにせよ、負債も純資産もお金をどのように調達してきたかを明らかにするものです。

 

資産はどうでしょうか?

 

資産は調達したお金がどのように活用されているか。お金の運用がどうなっているかを明らかにするものです。

 

このことから、何故、上記の等式が成り立つのかがわかるかと思います。つまり、調達したお金は何らかの形で運用されているということを表しているのです。

 

では決算書上ではどのように表現されるのでしょうか?

財産の状態を表した決算書のことを貸借対照表と呼びます。

英語ではBalance Sheetと呼びます。略してB/Sと呼ばれることが多いです。

 

形式としては左側に資産、右側に負債と純資産を表記する勘定式と資産、負債、純資産の順で縦に並べる報告式の2つがあります。

 

(勘定式)

借方  金額  貸方  金額

資産   ○○  負債  ○○

         純資産 ○○

借方合計 ××  貸方合計 ××

 

(なお、簿記の用語で左側を借方、右側を貸方と呼びます。)

 

(報告式)

資産の部 

・・・

負債の部 

・・・

純資産の部

・・・

 

わかりやすいので以後、勘定式で説明します。

 

最初に元手を出資したときのB/Sはどうなるでしょうか。

(仕訳)

現金 1,000円 / 資本金 1,000円

 

(B/S)

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その後、仕入と売上を計上すると、どのように財産の状態は変わるでしょうか?

 

(仕訳)

仕入 100 / 現金 100

現金 120 / 売上 120

 

(B/S)

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現金は仕入れに100円支払い、売上により120円を獲得したので、以下のように増減します。

1,000 - 100 + 120 = 1,020

 

一方の貸方には利益剰余金という項目が表れて20が計上されています。

これは何でしょうか?

 

そうです。

一連の取引により計上された利益20円がここに計上されるのです。

B/Sはこのように常に借方と貸方が一致します。利益剰余金というのは、頑張って獲得した利益の累積を表します。

 

このように、B\Sは日々の取引により増減します。財産の状態(財政状態といいます)がどうなっているかを示すのが1つ目の決算書、貸借対照表の役割となります。

 

(vol.5に続く)