かいけいがく vol.34 - 退職給付 Part.2 -

(vol.33から続く)

 

引き続き、確定給付制度ついての会計処理についてみていきましょう。

 

企業会計基準 第26号「退職給付に関する会計基準

 

14. 次の項目の当期に係る額は、退職給付費用として、当期純利益を構成する項目に含めて計上する。


(1) 勤務費用(第 17 項参照)

(2) 利息費用(第 21 項参照)

(3) 期待運用収益(第 23 項参照)

(4) 数理計算上の差異に係る当期の費用処理額(第 24 項参照)

(5) 過去勤務費用に係る当期の費用処理額(第 25 項参照)  

 

ひとつずつ説明します。

 

勤務費用

企業会計基準 第26号「退職給付に関する会計基準

 

8. 「勤務費用」とは、1 期間の労働の対価として発生したと認められる退職給付をいう。  

 

当期中に従業員等が提供した労働サービスに対しての退職給付額を認識します。

 

利息費用

企業会計基準 第26号「退職給付に関する会計基準

 

9. 「利息費用」とは、割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息をいう。

 

割引計算した退職給付債務に時の経過による影響を加味します。

 

期待運用収益

企業会計基準 第26号「退職給付に関する会計基準

 

10. 「期待運用収益」とは、年金資産の運用により生じると合理的に期待される計算上の収益をいう。 

 

年金資産の運用による生じると見込まれる収益額を当期の損益に含めます。

 

事例で確認しましょう。

 

例)2019/4/1時点における数理計算の結果、

2019/4/1から2020/3/31の各項目の金額は下記のとおりとなった。

 

期首退職給付債務:18,000

期首年金資産:12,000

割引率:5%

長期期待運用収益率:3%

勤務費用:1,000

利息費用:900(18,000×5%)

期待運用収益:360(12,000×3%)

 

(前提条件)

・未認識数値計算上の差異、未認識過去勤務費用の影響はないものとする。

 

(仕訳)

退職給付費用 1,000 / 退職給付引当金 1,000

退職給付費用    900 / 退職給付引当金    900

退職給付引当金   360 / 退職給付費用     360

 

期末時退職給付債務:18,000 + 1,000 + 900 = 19,900

期末時年金資産:12,000 + 360 = 12,360

 

B/S計上額:19,900 − 12,360 = 7,540

 

当期の労働サービスの対価分の債務計上、時の経過による影響を反映、年金資産の期待運用収益を加味することにより、当期末の退職給付引当金の金額を計算します。

 

(vol.35へ続く)