かいけいがく vol.13 - 貸倒引当金 Part.3 -
(vol.12から続く)
一般債権に関する貸倒れ見積高を貸倒実績率法により算定してみましょう。
例)各期末の債権残高と翌期の貸倒れ額は以下の通りとする。
(前提)
・貸倒実績率は期末債権残高に対する翌期1年間の貸倒れ高の割合とする。
・当期に適用する貸倒実績率は過去3年間の平均とする。
・T期:当期末
T-3:20 ÷ 2,000 = 1%
T-2:60 ÷ 3,000 = 2%
T-3:20 ÷ 5,000 = 0.4%
貸倒実績率の算定
(1%+2%+0.4%) = 1.13%
貸倒見積高の算定
4,000 × 1.13% = 45
(仕訳)
次に貸倒懸念債権についてみてみましょう!
2つの方法がありますが、まずは財務内容評価法について説明します。
もう一度、会計基準を振り返りましょう。
企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第28項(2)①
債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額について債務者の財政状態及び経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法
こちらも事例で考えてみましょう。
例)得意先Gに対する債権は4,000とする。G社に対する調査の結果、当該債権は貸倒懸念債権に該当することが判明した。担保による処分見込額は500を控除した残額の50%を貸倒引当金として設定することにした。
計算式
(4,000 - 500) × 50% = 1,750
(仕訳)
次に、貸倒懸念債権のもう1つの貸倒れ見積高の算定方法であるキャッシュフロー見積法についてみてみましょう!
企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第28項(2)②
債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積ることができる債権については、債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれるときから当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法
例)得意先Hに対する貸付金10,000が計上されている(当初の利率は5%)。H社の業績悪化により、取引条件の見直しの依頼があった。これを受諾して、当該債権を貸倒懸念債権に分類した(見直し後の利率は2%)。
割引価値合計 = 190 + 181 + 172 + 164 + 7,991 = 8,698
貸倒見積高 10,000 - 8,698 = 1,302
(仕訳)
最後に、破産更生債権等に対する貸倒れ見積高の算定をみてみましょう。
あと少しなので、もうしばらく辛抱ください(-_-;)
企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第28項(3)
破産更生債権等については、債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする。
例)得意先Iに対する債権50,000は破産状態にあることから破産更生債権等に分類することと判断した。担保による処分見込額5,000を控除した全額を貸倒れ見積高とすることにした。
(50,000 - 5,000) = 45,000
(仕訳)
貸倒引当金繰入額 45,000 / 貸倒引当金 45,000
貸倒れ見積高の算定方法についての説明は、以上となります。
適正な期間損益の計算のため、回収の見込みについて適正に表記するために貸倒引当金の算定、計上は極めて大切な処理となります。
(vol.14へ続く)