かいけいがく vol.49 - 減損 Part.2 -

(vol.48から続く)

 

減損の兆候がありと判断された固定資産については、

次に認識するかどうかの判定を行います。

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準

 

2.減損損失の認識

(1) 減損の兆候がある資産又は資産グループについての減損損失を認識するかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識する。 

 

以下の不等式が成立するならば、減損損失を認識します。

 

帳簿価額 > 割引前将来キャッシュ・フロー(将来CF) → 減損損失を認識

 

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準

  

4.将来キャッシュ・フロー

(1) 減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積られる将来キャッシュ・フロー及び使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積る。 

(2) 将来キャッシュ・フローの見積りに際しては、資産又は資産グループの現在の使用状況及び合理的な使用計画等を考慮する。(注5)

(3) 将来キャッシュ・フローの見積金額は、生起する可能性の最も高い単一の金額又は生起しうる複数の将来キャッシュ・フローをそれぞれの確率で加重平均した金額とする。(注6)

 

(注5)
計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果として生ずる将来キャッシュ・フローは、見積りに含めない。また、将来の用途が定まっていない遊休資産については、現在の状況に基づき将来キャッシュ・フローを見積る。

(注6)
将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクについては、将来キャッシュ・フローの見積りと割引率のいずれかに反映させる。ただし、減損損失を認識するかどうかを判定する際に見積られる割引前将来キャッシュ・フローの算定においては、このリスクを反映させない。

 

将来CFの見積もりについては会社ごとの事情を考慮して、合理的かつ説明可能であることが求められます。

 

そして、最後に測定に移ります。

 

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準

 

3.減損損失の測定
減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とする。 

 

減損損失 = 帳簿価額 - 回収可能価額

 

ここで用語を確認しましょう!

 

企業会計審議会「固定資産の減損に係る会計基準」注解

 

1. 回収可能価額とは、資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額をいう。

2. 正味売却価額とは、資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額をいう。

4. 使用価値とは、資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値をいう。 

 

正味売却価額は今、売ったらいくらになるか。

使用価値は使い続ければどれくらいのリターンが期待できるかということです。

売却するか、利用するか、会社は経済的に合理的な選択をするはずですので、

高い方の金額を回収可能価額とします。

 

(vol.50へ続く)