<Valuation>会社や事業に関する評価 - vol.2 -

(vol.1から続く)

 

企業価値評価といっても、そもそも企業価値とは?という問題があります。

何をするにも取り扱うべき対象は何であるかを明らかにすることは大切です。

 

B/Sをもとに考えてみましょう。

図示すれば以下のとおりです。

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さてここで、B/Sをいくつかにわけてみましょう。

次のとおりにわけるとします。

 

資産 → 事業資産 + 非事業資産  

負債 → 事業負債 + 非事業負債 + 有利子負債

 

ここで次のように定義します。

 

事業価値 = 事業資産 - 事業負債

 

企業価値 = 事業価値 + 非事業価値(非事業資産-非事業負債)

 

株主資本価値 = 企業価値 - 有利子負債

 

ここで言葉の意味するところを確認しておきましょう。

「事業価値」とは会社が行っている事業が生み出す価値を指します。

営んでいる事業が将来的にどれくらいのお金を稼ぐことになるのかを表すものです。

一方、「非事業価値」とは会社が行っている事業とは関連しない価値を意味します。

例えば、手許キャッシュや保険積立金などがあります。

 

事業価値と非事業価値を合わせたものが「企業価値」となります。

企業価値は会社が事業を行うにあたってお金を出してくれた債権者と株主に帰属します。会社法では、会社財産は優先的に債権者に分配して、その後に株主に分配されることになります。

 

ですので、企業価値から債権者の持分たる有利子負債を除いた金額が株主資本価値となります。

 

企業価値の意味するところを明らかにしたところで、では、どうやって企業の価値を測定するのか?ということを考えてみましょう。

 

手法としては、大きく3つの方法に大別されます。

マーケット・アプローチ(例:株価倍率法)

インカム・アプローチ(例:DCF法)

コスト・アプローチ(例:修正純資産法)

 

これらは会社や事業の価値をどこに着目して評価するか?という点で異なります。

市場で取引される価格を重視するのか(マーケット・アプローチ)、利益やキャッシュ・フローに着目するのか(インカム・アプローチ)、または保有する資産に注目するのか(コスト・アプローチ)、つまり対象をみる視点が異なります。

 

次回以降では、これらの手法はどのように用いられるのかについて、

考察していくことにしましょう。

 

(vol.3へ続く)