Convertible Securitiesに関する主な論点についての整理 - vol.1 -
「コンバーティブル投資手段」活用ガイドラインについて (METI/経済産業省)
こちらを参考にConvertible Securitiesと呼ばれる資金調達の方法について、
主な論点や制度的な特徴等について概観してみたいと思います。
シード期にあるスタートアップに対して資金を供給する場合、
従来の資金調達の手段では、次のような問題があります。
①不確実な状況下において、企業価値評価が困難であること
②通常の株式等で資金調達を行うと、手続に関する負担が過大であること
③柔軟なインセンティブの設計が困難であること
そこで、転換価額の算定式と転換条件が設定された新株予約権等で資金を供給する、
Convertible Securitiesが活用されることになります。
ここで転換価額の算定式の設定として、どのようなものがあるのか?
ガイドラインでは、ディスカウントとキャップの2つを例示しています。
・ディスカウント
2,000万円で投資した投資家Aは次回のラウンドで20%のディスカウントした株価で株式を取得できる条件で投資したとします。
もしも次回ラウンドの株価が20万円であれば、以下の株価で株式を取得できます。
(計算式)
取得株価
20万円 ×(1 - 0.2)= 16万円
取得株式数
投資額:2,000万円 ÷ 16万円/株 = 125株
通常であれば、2,000万円÷20万円/株=100株のところを、ディスカウントの条件が入ることで、25株だけ最初に投資した投資家Aが有利となります。
・キャップ
発行済株式総数:50,000株、評価額上限が5億円と設定されているとします。
この場合、5億円÷50,000株=10,000円/株で株式を取得できます。
投資家Bは2,000万円を投資したとします。
次回のラウンド時の株価が例えば16,000円/株とした場合、
投資家Bの取得できる株式は、次のとおりです。
(計算式)
2,000万円 ÷ 16,000円/株 = 1,250株
ですが、評価額の上限(キャップ)が設定されている場合、
上記の通り、10,000円/株で株式を取得できるものとします。
(計算式)
2,000万円 ÷ 10,000円/株 = 2,000株
このように、初期に投資した投資家は高いリスクで投資した分、
そのリスクに見合うリターンを得るように条件を設定することができます。
(vol.2へ続く)