排出量取引の会計処理 - vol.3 -

将来の自社使用を見込んで排出クレジットを取得する場合の会計処理

 

(1)他者から購入する場合

・購入時

→「無形固定資産」又は「投資その他の資産」として会計処理を行います。

 

減価償却

→対象外

 

・減損会計

→対象となります

 

企業会計基準委員会 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」4(1)

・・・第三者への売却可能性に基づく財産的価値を有していることに着目して資産計上されているため、他の資産とのグルーピングは適当でないと考えられる・・・

 

・自社の排出量削減に充てられた時

→費用に計上します

 

企業会計基準委員会 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」4(1)

・・・排出クレジットを国別登録簿(割当量口座簿)の政府保有口座へ償却を目的として移転した時点において費用とする。また、実際に政府保有口座に移転していなくとも移転することが確実と見込まれる場合や、第三者へ売却する可能性がないと見込まれる場合には費用とすることが適当である。

 

(2)出資を通じて取得する場合 

・個別上の取り扱い

金融商品会計基準に従います。

 

・出資先が子会社又は関連会社に該当する場合

→連結又は持分法を適用します。

 

・取得した排出クレジットの会計処理

→(1)と同様に取り扱います。

 

(3)無償で取得する場合

(ⅰ)事後清算により排出枠を取得する場合

・排出枠の取得時

→取引を認識しません。

 

・排出枠の第3者への売却

試行排出量取引スキームにおいて、参加する複数年度を通算してみると、排出枠が不足する場合もあることから、取引は暫定的なものとみなします。

 

企業会計基準委員会 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」4(3)①

・・・売却の対価は仮受金その他の未決算勘定として計上し、当該スキームに参加する複数年度を通算して目標達成が確実と見込まれた時点で利益に振り替える(又は、目標未達となり費用が発生する場合には、費用の減額に充てる。)。 

 

(ⅱ)事前交付により排出枠を取得する場合

・排出枠の事前交付時

→取引を認識しません。

 

・排出枠の第3者への売却

排出枠を第3者へ売却する場合、事後精算により排出枠を取得する場合と同様に取り扱います。

 

企業会計基準委員会 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」4(3)②

・・・売却の対価を仮受金その他の未決算勘定として計上し、当該スキームに参加する複数年度を通算して目標達成が確実と見込まれた時点で利益に振り替える(又は、目標未達となり費用が発生する場合には、費用の減額に充てる。)。

 

排出枠について、他者から購入した分がある場合、まずはそちらから売却したものとみなします。

 

(参考)

企業会計基準委員会 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」