心のゆらぎに疎いのはいけない

人の心は繊細微妙なものです。

 

様々な感情が渦巻いていて、一言で説明できるものではないでしょう。

誰しもそれぞれに事情があり、身の回りのことに対しての考え方や

受け取る印象は千差万別でしょう。

 

それほどまでに心は揺れ動いています。

多彩な感情をもった人間が集まって生きる社会ですから、

それらの思いを汲み取らずに軽視する態度は許されません。

 

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「最近の若いやつは・・・」

 

そういった決まり文句は古今東西、ずっと言われ続けてきたそうです。

別に今に始まった話ではないようです。

 

若者が会社をすぐに辞めてしまうという問題は、

「何を考えているか?」、「何を求めているか?」、

そして、「何が嫌なのか?」を理解できていないことから

生じる問題ではないでしょうか?

 

人は自分の感情や事情をもとに他人を理解しようとしますが、

自分と他人は違うのですから、齟齬が生じることは目に見えています。

だからこそ対話が大切なのですが、対話を怠けてしまう場合が非常に多い。

 

他人を理解するには、粘り強く接することが必要ですが、

重要性が理解されていないこと、その労力を惜しむことが少なくありません。

 

怒りや悲しみは期待と現実の間に落差があることから生じるとしたら、

そもそも期待したこと、事前に想定していたことは現実には違っていた、

つまり、対象を正確には理解できていなかったということでしょう。

 

先入観や思い込みは避けられないのかもしれません。

物事はこうあるべきだ、こうに違いないといった見方は、

大体において変化への対応を妨げますし、すれ違いを生む原因になってしまいます。

 

智に働けば角が立つ。

情に棹させば流される。

意地を通とおせば窮屈だ。

とかくに人の世は住みにくい。

-夏目漱石著、『草枕』より

 

有名なセリフですが、後にこんな文章が続きます。

 

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。

やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。

ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。

あれば人でなしの国へ行くばかりだ。

人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。 

-夏目漱石著、『草枕』より

 

というわけで、人と人が寄り添い合って暮らす世の中なので、

お互いのことを尊重し合うことが大切です。

 

自尊心を傷つけたり、悪口を言ったりバカにしたりして気持ちを踏みにじる行為は、

絶対に許されるものではありません。