かいけいがく vol.127 - 原価計算 Part.1 -
原価計算に関する基準としては、昭和37年に大蔵省企業会計審議会が中間報告として「原価計算基準」(以下、基準)を公表しています。
こちらに基づいて原価計算を解説してみたいと思います。
まずは、そもそも何故、原価計算を行うのか?、その目的についてです。
基準上は以下の5つの目的があると示しています。
1.財務諸表を作成するため
2.価格計算のため
3.経営管理者の原価管理のため
4.予算管理のため
5.経営の基本計画の設定のため
そして、基準ではこれらの目的が共に達成されるための計算秩序を原価計算制度としています。さらに、”財務会計と有機的に結びつき”、”常時継続的に行われる”、そのような計算体系を指して原価計算としています。
さて、この原価計算制度ですが、大別して2つの制度に分けられます。
1.実際原価計算制度
2.標準原価計算制度
(原価の本質とは何か?、原価の諸概念とは?、など色々ありますが、ここでは割愛して実際にどのように原価は計算されるのかにフォーカスしたいと思います。必要な知識は都度、参照したいと思います。)
1.実際原価計算制度
まずは手順を確認します。
・製造原価*1
実際発生額→費目別計算→部門別計算→製品別計算
・販売費および一般管理費
実際発生額を費目別に計算
*1 製品原価:一定単位の製品に集計された原価
順番にみていきましょう。
①費目別計算
形態別分類(材料費、労務費、経費)*2、製品との関連における分類(直接費、間接費)*3などを基礎として次のように分類します。
*2 原価発生の形態による分類。材料費、労務費、経費に区分する。
*3 原価の発生が一定単位の製品に対して直接認識されれば直接費、そうでなければ間接費
直接費
- 直接材料費
- 直接労務費
- 直接経費
間接費
- 間接材料費
- 間接労務費
- 間接経費
②部門別計算
原価部門として以下の2つを設定します。
・製造部門:直接製造作業の行われる部門
・補助部門:製造部門に対して補助的関係にある部門
原価要素は部門別計算を行うに当たって、次の2つに分類します。
・部門個別費:部門において発生したことが直接認識される原価要素
→直接に部門に賦課
・部門共通費:部門個別費以外の原価要素
→適当な配賦基準により関係部門に配賦
以上の知識を踏まえた上で、部門別計算は3段階にわけて計算します。
(1)原価要素を各製造部門、補助部門に賦課または配賦する。
(2)補助部門費は適当な配賦基準により製造部門に配賦する。
(3)製造部門に集計された金額は各工程、作業単位に集計する。
(vol.128へ続く)