かいけいがく vol.60 - 税効果 Part.5 -

(vol.59から続く)

 

今回からは、繰延税金資産の回収可能性の具体的な手順をみていきましょう。

 

まずはルールを確認します。

 

企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」

 

11. 第 6 項に従って繰延税金資産の回収可能性を判断する場合の具体的な手順は、次のとおりとする。

(1) 期末における将来減算一時差異の解消見込年度のスケジューリングを行う。

(2) 期末における将来加算一時差異の解消見込年度のスケジューリングを行う。

(3) 将来減算一時差異の解消見込額と将来加算一時差異の解消見込額とを、解消見込年度ごとに相殺する。

(4) (3)で相殺し切れなかった将来減算一時差異の解消見込額については、解消見込年度を基準として繰戻・繰越期間の将来加算一時差異((3)で相殺後)の解消見込額と相殺する。

(5) (1)から(4)により相殺し切れなかった将来減算一時差異の解消見込額については、将来の一時差異等加減算前課税所得の見積額(タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の見積額を含む。)と解消見込年度ごとに相殺する。

(6) (5)で相殺し切れなかった将来減算一時差異の解消見込額については、解消見込年度を基準として繰戻・繰越期間の一時差異等加減算前課税所得の見積額((5)で相殺後)と相殺する。

(7) (1)から(6)により相殺し切れなかった将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性はないものとし、繰延税金資産から控除する。

また、期末に税務上の繰越欠損金を有する場合、その繰越期間にわたって、将来の課税所得の見積額(税務上の繰越欠損金控除前)に基づき、税務上の繰越欠損金の控除見込年度及び控除見込額のスケジューリングを行い、回収が見込まれる金額を繰延税金資産として計上する。  

 

将来減算一時差異(1)と将来加算一時差異(2)のスケジューリング

解消見込年度ごとに(1)と(2)を相殺

(3)=(1)-(2)の金額

⇒解消見込年度を基準として繰戻・繰越期間の将来加算一時差異(4)と相殺

(5)=(3)-(4)の金額

⇒将来の一時差異等加減算前課税所得の見積額(6)と解消見込年度ごとに相殺

(5)-(6)の金額

⇒解消見込年度を基準として繰戻・繰越期間の一時差異等加減算前課税所得の見積額と 

 相殺

相殺できなかった金額は繰延税金資産に計上できない

 

(vol.61へ続く)