進むことも退くことも状況によっては適切かもしれない
得をしているのか損をしているのかに関係なく、
知らないことや経験したことないことを受け入れない心理的な傾向を
『現状維持バイアス』といったりします。
メディアの記事などにもよく取り上げられますので、
知っている方も多いかと思います。
現状が良くないと考えている人であっても、
何かの変化が起こることに抵抗を感じてしまうのが人間の性質だそうです。
自分と周りの人間をみていても、程度の差はあれど、その傾向は認められます。
(その良し悪しはわかりませんが。)
今も昔もそれは変わらないように思います。
戦いにおいては撤退戦が難しいとよく言われます。
戦いを決意するのは簡単だが、戦いをやめることは難しい。
負けているときなどは尚の事、というわけです。
「引き際が肝心」、どこでやめるのかを線引できる人間は
それほど多くはないように思います。
自分の力を過信しているわけではないですが、一度決めたことをやり通すことが
美徳とされる社会においては、途中で何かを投げ出すことや諦めてしまうことが、
悪い事のようにみなされます。
精一杯やってダメだったら退くこと、分が悪い勝負だとしたら負けを認める事、
気持ちはわかりますが、頑張ってもどうしようもないことはたくさんあります。
やめる決断をしたからといって、その人がダメだということにはなりません。
むしろ、退くべき時に退くことができる、英断ができる人間だと評価するべきでしょう。
最近、とある本を読んでいたら、企業買収の場面では、一度買うという選択をした以上、買わない選択をすることは極めて難しいということが書いてありました。
経済社会という”戦い”の舞台でも、一昔前の戦いのような意思決定がなされていることには驚きます。人間というものは本質的に変わることが無いのかもしれない、そんな気持ちになりました。
初志貫徹、一度決めたことをやりきることも素晴らしいですが、
無理だと判断したら、潔くやめることも、
また、評価されるべきところではないでしょうか?